ある人と花の話

「こんにちは」

「こんにちは」

「―どうして笑っているんですか?」

「私は花だから」

「………?」

「花はね、笑顔を崩してはいけないの。ずっと、美しい姿でいなければならないの」

「ずっと?」

「そうです。たとえ私が他人に嫌われようが好まれようが、です」

「そうですか、では何故――」

「?」

「何故、貴方は今泣いているんですか?」

「!?」

「泣いていましたよ…?」

「――私は辛いのです。こうしていつも笑うことが。ただ、受け入れらたいが為だけに……」

「貴方はとても美しいですよ?」

「……」

「そうやって泣くことが出来るのですから」

「どういうことですか?」

「――ずっと笑っていても構いません。でも辛い時ぐらい、素直に泣いたらどうですか?

笑いたい時に笑い、泣きたい時に泣けばいいんです」

「……そうですね」

「はい」

 

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