メモ帳1~5

 

1 (2005.10.4)

君は知っているかな?
人に感情があるように
水に感情があるってこと
え、知らない?....そう、じゃあ教えてあげるよ

山の奥で人知れず流れる水の人は
きらきらしていてとても美しい
長い艶やかな髪をなびかせて 空を仰ぐ
でも、人が水の人を檻に閉じ込め
人のために水の人は踊らされていった

水の人は人のために細い管を通り
抜け出たと思っていたそこはいつも暮らしていた場所ではなかった
流れに流れ 全ては人のため
涙を流しても 誰にも気付いてもらえず
一生を終える

もう一度生き返らせようと人は
水の人に毒をあおらせた
もう一度"綺麗"になり働けと人は
水の人の感情を奪っていく
水の人はもう水の人ではなくなった
ただの水になった
もう二度と元には戻れない

 

2 (1の続き)

君は知っているかな?
人に感情があるように
木にもちゃんと感情があるってこと
え、知らない?.....そう、じゃあ教えてあげるよ

森の奥で隣に立っている木の人は
とても背が高く とても優しい風を持っている
でも、人がその子どもを街に持っていった
木の人は人の街を飾るものになっていた
人のために木の人は使われた

木の人の子は成長して大人になり
目を開けるとそこが
自分の住むべき場所だと錯覚する
人に包まれ、とりまくガス
それが当り前なのだと信じていた

木の人に華やかな人になってもらうため
人は科学となる道具を使う
美しい花が咲かなければ人は
その木を不要だと切り倒した
木の人はもう木の人ではなかった
ただの木になった
もう二度と元には戻れない

 

3(1・2の続き)

だから人間は怖れてしまうのかな?
散々自然は世にいう「現象」を起こし
散々人を殺した後でまた平常になる
その中での血はどこへ流れていってしまうのだろうね

人がやるなら、自然だって黙ってはいない
木や水や火の感情を奪われた代わりに
人間という存在を消してしまおうと
こんなに恐ろしいものはあるだろうか? 

これからも続く やってはやり返されることを
人は楽を求め、手に入れた
だがしかし、まだこれ以上手を伸ばすか
自然が見逃す訳ないだろう
全ては死んでは生まれての繰り返し
いつかは消えてしまうのだけれど

これで教えることは全て教えたよ
疑問があるなら手を挙げてね
あ、あるんだね? でも、その疑問はね
君が自分で見つけなければならないんだ
じゃあ、また会う日まで

 

4 (2005.10.5)

左を向けば窓があって 奥の奥には空がある
いま一人で空をみている
車さえ通らない交差点の昼
いま一人で立っている
傘をささずに雨の中で
いま一人でうたれてる
 

心のようだね 一人で
見て、立って、うたれて
一人だからって寂しくはないんだよ?
でも、嬉しくもないんだよ?
ただ、切ないと感じるだけで
眠っているようで
 

心はずっと一人で、一個なんだ
だから自分にしか理解できないものがある
自分にしか言い訳できないものがある
自分にしか感じることのできない思いがある

 

5 (2005.10.5)

赤い紅い血は流れて道をつくる
その先には痛みがある
切った斜めに深い傷ができた
軽く力を込めた 血が出た
 

赤い紅い血は流れて道をつくる
まるで身体が流す涙だね
 

想いの涙は透明で痛みの涙は赤色で
 

悲しい涙は悲しい色で
 

人の悲しみを溶かして形にしたのが涙
人の嬉しさを溶かして形にしたのが泪
人の想いを溶かして形にしたのが涙
 

赤い紅い赫い血は流れて道をつくる
悲しい嬉しい思い涙は流れて頬を濡らす
どんなモノを流しても結局同じ

 

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