2011春 1~5

 

1

ずっと待ち焦がれてた

桜の息が吹かれぬうちに

耳を澄まして聞く

散る頃には届くであろう

文(フミ)の音(ネ)を

 

2

帯を締め

袖から7枚の色を魅せて

春を告げるため

そっと笑いかけるのです

今年は私の春の番

次はあなたの春の番

 

3

花は芽吹き 吹き 散る

常に同じ姿をせず

常に代わり続ける

人もまた花と同じ

 

4

同じく舞を

さらば散る

黒髪に送った

愛の形

 

5

春の君よ

夏に己を渡し

散ろうというのか

新たな命のかたち

いつまでもこの場所で

見せ続けてもらおうぞ

 

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